廃プラスチック油化装置
アイトステック株式会社は、廃棄物処理のカーボンニュートラルを目指し、廃プラスチックから高純度の油を生成する油化装置の開発、実証に取り組んでいます。
この装置は、廃プラスチックを焼却を伴わずに加熱し、「固体→液体→気体」へと変化させ気体を冷却することで、分解油を生成するケミカルリサイクル装置です。1台当たり「1,500kg/日」の廃プラスチックから「1,100ℓ/日」の分解油を生成することができます。
処理過程においてCO2は発生しないため、従来の焼却処理で排出していたCO2を大幅に削減することが可能です。
油化装置:アイトステック資料
処理フロー:アイトステック資料
分解油は発電機やボイラー燃料など化石燃料の代替として活用でき、エネルギーの地産地消を実現できます。また、蒸留塔の併設により「ナフサ(30%)/軽油(23%)/灯油(38%)/重油(8%)」に分留可能です。
現在、弊社工場がある福島県いわき市において、近隣のスーパーマーケットや小中学校から集めた廃プラスチックを原料とした実証実験を行っています。今後はスーパーマーケットや食品工場、製紙工場など、プラスチックが排出される場所に油化装置を設置し、廃棄物から生み出したエネルギーをその地で活用する、新たな廃棄物処理のスタンダードを構築していきます。
弊社は、廃棄物処理に革命を起こし、カーボンニュートラルおよびサーキュラーエコノミーを実現します。
藻を基盤とした新しい社会をつくる世界初のお祭りに参加しませんか?
ちとせグループが運営するプロジェクト、MATSURI (MicroAlgae Towards SUstainable and Resilient Industry) とは、「藻を基盤とした社会」をつくり出す大きなお祭りです。
藻類は太陽エネルギーを基にCO2から多様な有機物を生成することにより、CO2削減に貢献するだけでなく、化石資源枯渇の不安を拭い去り、新しい社会の基盤となる力を持っています。
人々が垣根を越えてお祭りの踊りに興ずるように、様々なプレーヤーが立場や業種を越えて協働することで、事業が生まれ、収益を生み、産業という大きなうねりが誕生します。
2024/7/3現在、89の多種多様な機関が参画しており、共に藻類生産に関わる設備・技術の開発や、藻類バイオマスを活用した化粧品や食品、化成品など幅広い分野での用途開発を進めています。
人類史上に残る“MATSURI”に参加し、脱炭素というフロンティアで縦横無尽に藻類ビジネスを広げていきませんか?
Join us for the future, MATSURI.
MATSURIサイト: https://matsuri-partners.chitose-bio.com/
YouTube: https://www.youtube.com/watch?v=U-bgEY_3riU
Instagram: https://www.instagram.com/chitose_matsuri/
お問合せ: contact-matsuri@chitose-bio.com
※本文中の「藻」や「藻類」は全て「微細藻類」を示します。
出典:ちとせグループ資料
光によりバイオガスからギ酸を生成する技術
家畜ふん尿や生ごみ、食物残渣などの嫌気性発酵で得られるバイオガスは、温室効果ガスであるメタンが約60%含まれており、エネルギーとして活用できます。現在、そのバイオガスのエネルギー活用のため各地でプラントが建設され、メタンガスをボイラーや発電機の燃料として利用して熱や電気を取り出していますが、その過程でCO2が発生するという課題があります。また、取り出した電力の活用目的は、固定価格買取制度(FIT)を利用した売電というケースが大半を占めますが、そのFITも近い将来に終焉を迎えるといわれており、FIT終了後のバイオガス活用について多くの議論がされています。
ウシオは、二酸化塩素を用いた光反応でCO2を排出することなく常温・常圧下で空気とメタンからメタノールとギ酸を作り出すことに世界で初めて成功した大阪大学の大久保 敬教授と共同研究を進めています。これまで培ってきた光技術を使い、その光反応に最適な「光」とリアクターの開発を目指しています。
この技術を応用することで、バイオマス事業・酪農・下水処理場などで排出されるバイオガスの一部を、温室効果をもたらすことなく貯蔵、運搬可能な液体エネルギーとして利用することが可能となります。今後は実用化に向けさらに研究・開発を進め、2024年に実証実験を開始し、2027年の事業化を目指します。
反応メカニズムの概要
出典:ウシオ電機WEBサイト
二酸化塩素によるメタンの光酸化の反応式
出典:ウシオ電機WEBサイト
バイオマス由来であるこのギ酸は、化石資源の置き換えとしての可能性があると考えています。マスバランス方式を活用することで、100%バイオマス由来と認定された化成品の生産にも役立てる可能性を秘めています。
バイオギ酸の新たなニーズ開拓とともに活動を進めてまいります。
バイオギ酸の利活用シーンのイメージ
出典:ウシオ電機WEBサイト
参照URL
FT合成によるCO2を活用した液体燃料合成技術の開発
住友重機械工業株式会社は、CO2活用技術としてミネラル化技術*、藻類培養技術、ダイヤモンド電極によるCO2の電気化学的還元、カーボンリサイクル液体燃料技術などの開発を進めている。カーボンリサイクル液体燃料技術については、CO2を炭素源とするフィッシャー・トロプシュ(FT)合成**で灯油、ジェット燃料、軽油相当の中間留分に変換することにより、現在流通している移動体燃料と組み合わせるなどエンドユーザーの負担を抑制出来る可能性がある。
反応特性を改善する助触媒を添加したFT触媒を用いることによりCO2-CO-H2フィードにおいて常圧でも液状炭化水素およびワックス分が生成されることを確認。CO2を含むフィードを用いるスラリー床反応形式FT合成の検討を進めており、2025年に50L規模ベンチ試験を開始すべく、技術開発を進めている。
FT燃料合成プロセス
出典:住友重機械工業資料
合成燃料の特徴
出典:住友重機械工業資料
*バイオマス灰から抽出したカルシウム分にCO2を吹込みCaCO3として固定する技術
**COと水素から触媒反応で石油代替となる液体高水素を合成する反応プロセス
参照URL
二酸化炭素を20%混合した合成ガスからのFT合成燃料生成に成功
収率90%をワンパスで実現するCO2→CO変換技術
積水化学は二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)に高収率で変換するケミカルルーピング型逆シフト反応技術を開発し、
CO2から変換したCOを経由するCCUSプロセスの確立とサステナブルな社会の実現に向けた技術開発を推進している。
CO2からCOに変換する技術として知られている水性ガス逆シフト反応は、平衡反応であることから
CO2からCOへの収率は50%程度であるが、当社は独自開発したケミカルルーピング技術と触媒によりCO収率90%以上を達成した。
更に、貴重な資源である水素を無駄なく活用するため、水素の転化率も75%以上に向上させているとともに、
硫黄系不純物への耐性も評価し、排ガス由来CO2への処理適正の確認も進めている。(図1)
図1 ケミカルルーピング技術概要
出典:積水化学工業資料
本技術の実証は、2021年度からのNEDO委託事業で、アルセロールミタル社と鉄鋼由来排ガスを用いて進めており、
CO収率90%以上、水素転化率75%以上を達成、現在スケールアップを検討している。(図2)
図2 アルセロールミタル社との実証内容
出典:積水化学工業WEB(一部加工)
鉄鋼プロセス以外にもバイオモノづくり技術への適用を検討しているほか、東海カーボン(株)や
コスモエネルギーホールディングス(株)と協定を締結しCCUSの実現に向けた取組みを進めており、
CO2変換やCO供給需要があるパートナー候補の探索を幅広く進めている。(図3)
図3 ゴミ焼却場由来CO2を用いる高付加価値化学品合成
出典:積水化学工業WEB(一部加工)
参照URL
https://www.sekisui.co.jp/news/2023/1388996_40075.html
https://www.sekisui.co.jp/news/2023/1386118_40075.html
https://www.sekisui.co.jp/news/2023/1386374_40075.html
https://www.sekisui.co.jp/news/2023/1393845_40075.html
NEDO事業によるINPEXのCO2-メタネーションの取組み紹介
INPEXは、NEDO事業を通じて世界最大級となる400 Nm3-CO2/hのメタネーション設備を構築し、e-methane(合成メタン)を弊社ガスパイプラインへ注入する実証試験を実施します。
メタネーション試験設備(建設予定)3次元モデル俯瞰図
メタネーション事業イメージ
INPEXと大阪ガス株式会社は共同で、INPEXがNEDOから採択された助成事業のもと、都市ガスのカーボンニュートラル化に向けたCO2-メタネーションシステムの実用化を目指した技術開発事業を2021年より開始し、2023年からは世界最大級となる家庭用1万戸分に相当する400 Nm3-CO2/hの試験設備の建設を進めております。現在、造成工事の大部分が終了し、2023年10月24日より同設備の起工式を経て、プラント本工事に着手しています。当該試験設備は、新潟県長岡市に位置する越路原プラント内で分離・回収した随伴CO2を用いて、e-methaneを製造します。また、実証事業で製造した合成メタンはINPEXの都市ガスパイプラインへ注入し需要家にお届けする予定です。
参照URL
https://www.inpex.co.jp/company/movie.html#methanation_movie
CO2からの液体燃料製造技術の開発
出光興産株式会社は、CO2を原料とした化学品製造の実現や炭化水素製造に最も親和性が高いと考えられるフィッシャー・トロプシュ反応(FT反応/合成)*の次世代技術開発と液体合成燃料一貫製造プロセスの構築と最適化、さらに将来のスケールアップに向けた研究開発に参画している。この研究はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業として行われている。
FT反応による液体合成燃料一貫プロセス
出典:NEDO Webサイト
(https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101410.html)
さらに人工光合成技術を用いた電解による地域のCO2資源化検討事業を東芝エネルギーシステムズ株式会社、東洋エンジニアリング株式会社等と共に環境省地球環境局が公募した「二酸化炭素の資源化を通じた炭素循環社会モデル構築促進事業」にて提案し、委託事業として採択された。
東芝エネルギーシステムズが開発を進めるCO2電解装置を用い、CO2の分離回収からSAF製造、消費までの全工程を実証することを想定した基本計画を作成し、また事業成立性を評価する。
CO2資源化を通じた炭素循環社会モデルイメージ
出典:出光興産Webサイト
(https://www.idemitsu.com/jp/news/2021/210824_2.html)
また、出光興産がSAFの普及の為に提案する「最先端のATJ**プロセス技術を用いたATJ実証設備の開発と展開」がNEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト」の一つとして採択された。国内初の大規模SAFサプライチェーン構築を目指し、長期的には上述のような炭素循環社会を見据えている。
SAFのサプライチェーン構築
出典:出光興産Webサイト
(https://www.idemitsu.com/jp/news/2022/220419_2.html)
*COと水素から触媒反応で石油代替となる液体高水素を合成する反応プロセス
**Alcohol to Jet。エタノールからSAFを製造する技術・プロセス。SAFの国際規格ASTM認証「ASTM D7566 Annex5」として認証されている。
CO2とグリーン水素を使用した環境循環型メタノール事業の事業化と海外提携
三菱ガス化学株式会社は、CO2、廃プラスチック、バイオマス等を、メタノールに転換して化学品や燃料・発電用途としてリサイクルする「環境循環型メタノール構想 “Carbopath ” 」を推進。メタノールはさまざまな製品に利用することができ、CO2より製造できることから、CCU の導入を通じたカーボンニュートラル社会構築の上で強力な資源となると期待されている。
三菱ガス化学は、豪州拠点のCement Australia Pty Ltd*(以下CA)と新たに開発した環境循環型メタノール製造技術を適用し、CAのグラッドストーン工場(豪州クイーンズランド州)から回収するCO2とグリーン水素を原料としたメタノール製造販売の事業化検討実施に 合意する覚書を締結した。この提携により三菱ガス化学とCAはネットゼロの未来への移行を加速するCCU手法の確立を目指す。CAは豪州におけるグリーンコンストラクション先導企業として、事業活動から排出されるCO2を回収及び高付加価値製品への利用を進め、グリーン建材の大規模展開やCO2 分離回収・有効利用などの次世代技術を通じて、同国の2050年までのネットゼロ目標に取り組む。
持続可能な航空燃料(SAF)の供給に向けて
航空分野では、2020年以降に温室効果ガスの排出を増加させないためのCORSIA※1規制が導入されています。さらに2022年10月、温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにするという目標を国際民間航空機関(ICAO)が採択しました。また日本国内でも、2030年に航空燃料の10%を持続可能な航空燃料(SAF) ※2に置き換えるという目標を国土交通省が設定しています。
こうした動きを見据えENEOSグループは、2025年度までにSAFの輸入体制を構築するとともに、自社製造体制の構築に注力しています。
※1 CORCIA: Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviationの略。国際民間航空のためのカーボン・オフセット及び削減スキーム
※2 持続的な航空燃料(SAF):従来のジェット燃料が原油から精製されるのに対し、廃食油・サトウキビなどのバイオマス燃料や、都市ごみ・廃プラスチックを用いて生産され、廃棄物や再生エネルギーが原料のため、ジェット燃料と比較して約60~80%のCO2削減効果を見込む
カーボンニュートラル・循環型社会の実現に向けた取り組みの推進
出典:ENEOS資料
自社製造体制の構築に向け、 2026年に和歌山製油所設備を活用した年間40万KLの量産体制構築を目指し、フランスのTotalEnergies社と共同検討を進めています。また、豪州においてもSAFの製造設備を開発すべく、Ampol社と共同検討を進めています。
参照URL
・カーボンニュートラル基本計画(7ページ)
https://www.hd.eneos.co.jp/company/system/pdf/e_hd_jp_ot_fy2023_01.pdf
・統合レポート(47ページ)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/5020/ir_material_for_fiscal_ym3/142283/00.pdf
国内初、商業ベースでの継続的な船舶用バイオ燃料調達開始
豊田通商株式会社は、2021年にシンガポール港で初のバイオ燃料の運航実証を実施した。以降、名古屋港においては、港内を運航するタグボートや内航船に燃料供給船を横付けして燃料を供給するShip to Ship方式でのバイオ燃料の供給トライアルを含むバイオ燃料の有効性や供給のオペレーションとの商用化に向けた検証を経て、2023年4月に、国内初となる商業ベースでの継続的な船舶用バイオ燃料供給を開始した。
供給するバイオ燃料は、豊田通商がリサイクル会社と連携し、トヨタグループや豊田通商グループ企業の社員食堂などから回収した廃食油を継続的に調達し、原料の一部として精製、重油と配合したものを使用している。
バイオ燃料の供給を受ける自動車運搬船と供給を行う燃料供給船
出典:豊田通商Webサイト
革新的メタネーション技術開発
大阪ガス株式会社は、CO2と再生可能エネルギーから高いエネルギー変換効率でメタンを合成できる可能性がある革新的なメタネーションにつながる技術であるSOEC(Solid Oxide Electrolysis Cell;固体酸化物形電解セル)の基礎研究に取り組んでおり、実用サイズセルの試作に成功した。SOEC技術はメタン製造用途だけでなく、水素・液体燃料・アンモニア・化学品などの高効率製造にも活用可能と考えられ、2030年に技術確立することを目指している。
従来メタネーションと革新的メタネーションの比較
出典:大阪ガスWebサイト
工場排ガスから回収したCO2のメタノール転換
三菱ガス化学株式会社は、自社触媒を基にしたメタノール製造技術によるCO2・廃プラスチック・バイオマスなどをメタノールに転換して化学品や燃料・発電用途としてリサイクルする取組「環境循環型メタノール構想」を推進している。
三菱ガス化学はJFEエンジニアリング株式会社と、CO2を原料としてメタノールを合成するプロセスの実証試験において、清掃工場の排ガスから回収したCO2をメタノール転換することに国内で初めて成功した。また、株式会社トクヤマと、徳山製造所にて排出されるCO2と生じる水素を原料としたメタノール製造販売の事業化検討を行う覚書を締結。本検討が事業化された際は、工場より排出されるCO2をメタノールの原料として利用する、日本国内で初めての商業プラントとなる見込みである。
環境循環型メタノール構想とパイロット設備
出典:三菱ガス化学Webサイト
そうまIHIグリーンエネルギーセンター
IHIは東日本大震災の復興から地域経済再生のための新しい街づくりを目指して,福島県相馬市と連携し、スマートコミュニティ事業拠点「そうまIHIグリーンエネルギーセンター(以下、「SIGC」)」を2018年4月から運営している。下図に示すようにSIGCは太陽光発電による再生可能エネルギーをエリア内で地産地消し、さらに、防災機能の充実、地域活性化を目指すことをコンセプトとしている。
スマートコミュニティモデル
出典:IHI資料
2020年9月、SIGCで生産・貯蔵されたカーボンフリー水素を技術実証に活用する水素研究棟「そうまラボ」を同センター内に新設された。そうまラボでは、カーボンフリー水素などを使用し、メタンやアンモニア、オレフィンなどを合成する「Power to X」技術を検証することを想定している。そうまラボに設置したメタンを合成する試験装置は、水電解で得た水素とCO2を原料にして12Nm3/hのメタンを合成できる。
そうまラボ(左)と同所に設置された12.5Nm3/h規模のメタネーション設備(右)
出典:IHI資料
政府が宣言している2050年までのカーボンニュートラル化を達成するためには、地域再エネの有効活用とカーボンフリー水素のバリューチェーン構築が重要な役割を担うと考える。SIGCで培った地産地消エネルギーマネジメント技術とPower to X技術は、それらに欠かせないキーテクノロジーであるため、IHIはスマートコミュニティモデルの普及・拡張に取り組んでいる。
【参照URL】
https://www.ihi.co.jp/ihiing/decarbonization/20220509-01.html
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