革新的メタネーション技術開発
大阪ガス株式会社は、CO2と再生可能エネルギーから高いエネルギー変換効率でメタンを合成できる可能性がある革新的なメタネーションにつながる技術であるSOEC(Solid Oxide Electrolysis Cell;固体酸化物形電解セル)の基礎研究に取り組んでおり、実用サイズセルの試作に成功した。SOEC技術はメタン製造用途だけでなく、水素・液体燃料・アンモニア・化学品などの高効率製造にも活用可能と考えられ、2030年に技術確立することを目指している。
従来メタネーションと革新的メタネーションの比較
出典:大阪ガスWebサイト
工場排ガスから回収したCO2のメタノール転換
三菱ガス化学株式会社は、自社触媒を基にしたメタノール製造技術によるCO2・廃プラスチック・バイオマスなどをメタノールに転換して化学品や燃料・発電用途としてリサイクルする取組「環境循環型メタノール構想」を推進している。
三菱ガス化学はJFEエンジニアリング株式会社と、CO2を原料としてメタノールを合成するプロセスの実証試験において、清掃工場の排ガスから回収したCO2をメタノール転換することに国内で初めて成功した。また、株式会社トクヤマと、徳山製造所にて排出されるCO2と生じる水素を原料としたメタノール製造販売の事業化検討を行う覚書を締結。本検討が事業化された際は、工場より排出されるCO2をメタノールの原料として利用する、日本国内で初めての商業プラントとなる見込みである。
環境循環型メタノール構想とパイロット設備
出典:三菱ガス化学Webサイト
そうまIHIグリーンエネルギーセンター
IHIは東日本大震災の復興から地域経済再生のための新しい街づくりを目指して,福島県相馬市と連携し、スマートコミュニティ事業拠点「そうまIHIグリーンエネルギーセンター(以下、「SIGC」)」を2018年4月から運営している。下図に示すようにSIGCは太陽光発電による再生可能エネルギーをエリア内で地産地消し、さらに、防災機能の充実、地域活性化を目指すことをコンセプトとしている。
スマートコミュニティモデル
出典:IHI資料
2020年9月、SIGCで生産・貯蔵されたカーボンフリー水素を技術実証に活用する水素研究棟「そうまラボ」を同センター内に新設された。そうまラボでは、カーボンフリー水素などを使用し、メタンやアンモニア、オレフィンなどを合成する「Power to X」技術を検証することを想定している。そうまラボに設置したメタンを合成する試験装置は、水電解で得た水素とCO2を原料にして12Nm3/hのメタンを合成できる。
そうまラボ(左)と同所に設置された12.5Nm3/h規模のメタネーション設備(右)
出典:IHI資料
政府が宣言している2050年までのカーボンニュートラル化を達成するためには、地域再エネの有効活用とカーボンフリー水素のバリューチェーン構築が重要な役割を担うと考える。SIGCで培った地産地消エネルギーマネジメント技術とPower to X技術は、それらに欠かせないキーテクノロジーであるため、IHIはスマートコミュニティモデルの普及・拡張に取り組んでいる。
【参照URL】
https://www.ihi.co.jp/ihiing/decarbonization/20220509-01.html
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