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お知らせ 【旬なニュースを解説!】菅総理所信表明演説:グリーン社会の実現

2020年10月26日の菅総理の所信表明演説で、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことが宣言されました。鍵は、カーボンリサイクルなどの革新的イノベーションであると紹介されました。

一体これは、どういうことなのか考えてみたいと思います(脱炭素社会というよりは、循環炭素社会と言った方が、理解が深まると思います)。これまで、CO2は悪者として捉えられていました。すなわち、化石燃料を利用することが悪であり、これらを使用しない脱炭素という考えで、地球温暖化問題を解決しようとする動きが中心でした。これだけで解決できるとは思えません。

地球温暖化問題は一国の問題ではなく、地球全体の問題です。世界には、未だに電気にアクセスできない人が8憶人いるというエネルギーアクセス改善の問題もあります。また、化石燃料は、鉄、化学、紙、セメントなどの産業発展にも不可欠です。要するに、CO2を悪者と捉える限り、解決できません。

カーボンリサイクルは、CO2をエネルギーの最終形として捉えるのではなく、CO2を資源として活用し、炭素循環させるという考え方に基づいています。全ての生き物、そして人間の体も炭素でできています。CO2は水や空気を通して循環しており、この炭素循環(下図参照)の中でイノベーションを起こしていくという考え方です。

CO2の回収や排出抑制策のことのみが議論されがちですが、カーボンリサイクルには、CO2吸収源という考え方が重要になってきます。吸収源としては、森林がありますが、今後、海の吸収源(いわゆる、ブルーカーボン)を国際ルールとして、どう評価するかを検討すべきと考えます。

菅総理の「2050年カーボンニュートラル宣言」をきっかけとして、地球温暖化問題とエネルギーアクセス問題の同時解決を目指し、世界の叡智を結集し、カーボンリサイクルにかかる研究開発や実用化に拍車がかかることが期待されます。

 

 

 

 

(出典元)

1) 菅義偉首相の所信表明演説全文

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