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お知らせ 【旬なニュースを解説!】CO2 新素材で開発

大気中のCO2を直接回収するDACに用いる素材としてMOF(Metal-Organic Frameworks)という素材が注目を集めています。

MOFは、炭素を含む有機分子と金属原子がつながり格子状や蜂の巣状のような構造をした物質であり、1g当たりサッカーコート1面分に相当する表面積を持つMOFもあります。1~数個の分子が入る程度の隙間が空いており、特定の物質を吸着することができます。金属と有機分子の組み合わせにより隙間の大きさや性質が調整でき、狙った物質を吸着するよう設計できるため、CO2回収素材としての活用が期待されます。1990年に東京大学の藤田誠卓越教授がパラジウムと直線状の有機分子を合わせると自然に正方形の分子が組みあがることを発表し、その後正四面体や正八面体などを作る成果を発表しました。1997年に京都大学の北川進特別教授が活性炭の何倍もの分子を吸着できる多孔性のMOFを発表し、応用の可能性が示されました。

MOFの用途は多岐の分野に広がり、既に実用化がされている分野もあります。イギリスのMOFテクノロジー社は、2016年に果物が自ら放出して熟成を促すエチレンの働きを止める物質をMOFに閉じ込め、果物の鮮度を保つMOFを製品化しました。アメリカのニューマット・テクノロジー社は、2016年に有毒ガスを安全に保管・運搬するためのMOFを製品化しました。

 

日本では、2020年に立教大学と日本曹達株式会社がCO2を選択的に吸着するMOFを開発しました[1]。このMOFは水素分子も吸着することが可能で、水素貯蔵の用途でも利用が期待されます。気候変動対策など環境分野では、オーストラリア連邦科学産業研究機構は、2020年MOFを使いDACを安く実現するための試験プラントを建設しました。実験では80℃に熱したMOFを用いて、濃度70~80%のCO2を500回以上に渡って繰り返し吸着でき、6kg/日のCO2が回収できます。回収コストは35~350ドル/トンと既存法に比べて1/3以下と抑えられ、また、高熱の熱源が必要ないので、工場の排熱を利用するなど多くの場所での設置が期待されます。

藤田誠卓越教授はノーベル賞の受賞を占うイスラエルのウルフ賞化学部門を2018年に受賞しており、MOFはノーベル賞候補の技術と言えます。日本初の技術でCO2削減に貢献できることが期待されます。

2021年9月27日 日本経済新聞 日本発新素材「MOF」に世界が注目 脱炭素のカギに

[1]日本曹達株式会社プレスリリース 選択的に二酸化炭素を吸着する新規多孔性物質を開発(2020年7月6日)

 

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