お知らせ 【旬なニュースを解説!】CO2がお肉やお酒に変身
2020年11月16日日本経済新聞の朝刊記事で、二酸化炭素(CO2)を人工肉やお酒に変えて、「食べる」技術の開発にスタートアップが乗り出す記事(東大発ベンチャーのCO2資源化研究所等)が紹介されました。
CO2というと空気中に存在する気体のイメージが強く、人工肉やお酒といってもなかなかイメージしづらいかもしれません。
お酒の成分であるアルコールは、エタノールです。通常、お酒は、穀物や果物を酵母でアルコール発酵させて製造します。アルコール発酵とは糖を分解して、エタノールとCO2を生成するプロセスです。エタノールは、化学式ではC2H6Oと示されるように、組成だけ見てもCO2と水からつくられることが可能であることが分かります。
また、本技術を開発した米エア・カンパニーは、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、一部技術を転用し、エタノール濃度80%の消毒液を製造、医療機関などに寄付しました。エタノール消毒液は、日本でも今や身近なものです。
一方、肉に多く含まれるタンパク質ですが、20種類ものアミノ酸の様々な配列によって構成されています。アミノ酸の化学式は、R-CH(NH2)COOHで示され、こちらも炭素Cや酸素Oで組成されます。
組成をみると、CO2が肉やお酒に変身するということが、少しイメージできるかもしれません。タンパク質は、三大栄養素の一つであり、生きていく上で重要な栄養素です。それは炭素が重要な成分であることと等しく、人間は、日々食べ物として炭素を取り込み、体をつくっているのです。
2020年10月26日菅総理は、所信表明演説で「50年までに温暖化ガスの排出量実質ゼロ」を宣言しました。その実現に向けて、このようなカーボンリサイクル技術の開発は、大変期待されています。
2020年11月16日 日本経済新聞 朝刊記事 「排出ゼロ」、食べて解決