Carbon recycling worldカーボンリサイクルワールド

炭素循環とは

地球上の炭素は、大気中のCO2をはじめとした、様々な場所に、そして、様々な状態で存在しています。例えば、陸上の生物体や土壌中の有機物、海水や河川・湖沼水や底質に溶けているCO2や有機物、石灰質の生物体やその遺骸、岩石、及び化石燃料などが挙げられます。そして炭素が分布する大気、陸上、海洋、地圏をそれぞれの貯蔵庫とみなし、炭素がこれらの貯蔵庫間を交換・移動する循環を「炭素循環」と呼びます[1]。

CO2は地球温暖化の主要因のひとつであり、大気への放出を地球全体として抑制することが求められています。CO2は分子として最も安定しているため、これを人為的に分離しようとしても余計なエネルギーがかかります。しかしながら、新たな触媒の開発等のイノベーションの創出により、CO2を他の物質に変換していくことも可能です。また、植物や貝類珊瑚などがいとも簡単にCO2を固定化していることを考えると、人間が自然界から学ぶことも多いはずです。では、地球上で炭素がどのように循環しているのかを見てみたいと思います。

大気ー海洋間では、 大気中のCO2と海洋に溶けているCO2の分圧差により炭素の交換が行われております。大気ー陸域生態系間では植物による光合成や呼吸等によって、そして、陸域生態系ー海洋間では、主に河川などを通して陸域から海洋へ炭素が移動します[2]。

炭素循環モデル

図 炭素循環モデル

上図では、大気、陸、海における炭素保存量を赤字で示しています。また、矢印及び黒数字は、年間の炭素移動及びその量を示しています。

人間活動による化石燃料の燃焼が大気のCO2量の増加につながり、地球温暖化対策としてその抑制が求められています。また、森林面積の減少を抑えることも地球温暖化対策の重要な要素でそのルール化がCOPなどで議論されています。なお、海については、人間が藻類や魚貝類の組織へ固定を促進することで、CO2の大気への放出抑制に貢献することが可能ですが、これに関しては国際的なルールがなく、評価されないのが現状です。

現在、将来のCO2濃度を予測するために、炭素循環のメカニズムのすべての過程を明示的に取り入れた炭素循環モデルが考えられ、海洋の吸収量を中心に盛んに研究や議論が行われています。

[1] https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/mar_env/knowledge/global_co2_flux/carbon_cycle.html(気象庁HPより)

[2] http://db.cger.nies.go.jp/gem/ja/flux/file/pdf/sousetsu1.pdf(国立研究開発法人国立環境研究所地球環境研究センターより)