電力中央研究所では、未利用の木質系バイオマスを有効利用するために、小型かつ低コストで高効率な発電が可能なダイレクトバイオマス燃料電池(Direct Biomass Fuel Cells, DBFC)の開発を進めている。DBFC は、ボイラやガス化炉を必要とせず小型化が可能であり、バイオマスを構成する固体炭素と揮発成分の化学エネルギーを、直接、電気エネルギーに変換できるため、高効率な発電が期待できる。当所が独自開発したDBFCは円筒形状であり、電池の外側を構成する電極(燃料極)への木質系バイオマス燃料の供給が容易である。バイオマス燃料は700~800℃程度になっている反応容器内に投入され、炭化される。その際に、固体炭素(炭化物)と揮発成分(水素、一酸化炭素などの可燃ガス、二酸化炭素、窒素、水蒸気など)が生成し、これらは共に発電に利用される。また、反応容器内で生成した固体炭素(炭化物)を取り出し、バイオ炭として農地に散布または地中に埋設すれば、植物が吸収したCO2を固定化して環境から隔離することになり、ガーボンネガティブエミッション技術にも繋がる。
ダイレクトバイオマス燃料電池(DBFC)の利用形態
出典:電力中央研究所報告 EX22011