Case Study取組事例

CO2を効率よくフレッシュコンクリートに固定化するシステムの開発に成功

  • 業種:
  • 鉄・⾮鉄・セメント
  • 分野:
  • 鉱物化
実施会員:太平洋セメント株式会社

太平洋セメント株式会社は、フレッシュコンクリートに、CO2を効率よく固定化するシステム「カーボキャッチ®」を開発した。「カーボキャッチ®」は、 CO2を満たした密閉容器内にセメントと水との混合物であるセメントスラリーを循環させることにより、効率よく CO2を固定化することを可能にした当社独自のシステムで、セメントスラリーに供給した CO2の 90%以上(セメントスラリー中のセメント 1トン当たり 330 ㎏以上)を固体状の微細な炭酸カルシウムとして効率よく固定化できる。

「カーボキャッチ®」は、NEDOの助成事業「炭素循環型セメント製造プロセス技術開発(2020~2021 年度)」で得られた知見をベースに、回収された CO2をセメント・コンクリ-ト系材料に固定化させるカーボンリサイクル技術開発 の一環として確立した。 カーボキャッチ®・スラリーを用いて製造した消波ブロックは、コンクリート 1m3当たり 約 8.0kg(23kg/t-cem*)の CO2を固定化しており、これは NEDO が目標とした 10 ㎏/t-cemを上回る結果。カーボキャッチ®・スラリー(図参照)を使用した場合においても、従来のコンクリートと同等以上のフレッシュ性状、強度発現性・耐久性、ブリーディング量の抑制、凝結時間の短縮等 の特長を得られることを確認した。

「カーボキャッチ®」の実用化へ向けて、プレキャストコンクリート製品を対象とした実機製造試験を関連会社で行うとともに、舗装用コンクリートとしての 適用性を評価するため同社熊谷工場で試験施工を実施した。いずれも従来のコンクリートと同等以上の品質であることが確認され、本システムが汎用的なコンクリート製造に適用可能 な CCU 技術であることが示された。

「カーボキャッチ®」は様々な用途にも適用できる可能性があり、現在、あらゆる分野への 展開を視野に入れた研究開発を進めている。

 

左;カーボキャッチ®のシステム      右;カーボキャッチ®・スラリーを用いたコンクリート配合の概念図

出典:太平洋セメントWebサイト

 

左;カーボキャッチ®・スラリーを用いて製造した消波ブロック

左中;カーボキャッチ®・スラリーを用いて製造したプレキャストコンクリート製品(ガードレール用連続基礎ブロック)

右中・右;カーボキャッチ®・スラリーを使用した舗装コンクリートの試験施工

出典:太平洋セメント資料

 

*コンクリート製造時にはカーボキャッチ®・スラリーだけでなくセメントを使用するため、原単位が変化する

 

 

参照URL

https://www.taiheiyo-cement.co.jp/news/news/pdf/230315_1.pdf

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